1.大満寺の歴史・由緒
大満寺(だいまんじ)は、宮城県仙台市太白区向山に位置する曹洞宗の名刹で、山号を虚空蔵山(こくうぞうざん)と称します。
創建は平安時代末期と言われる長い歴史を誇る古刹で、奥州藤原氏が創建したと伝えられています。
かつて大満寺は、青葉山に鎮座していましたが、その後3度遷座しています。
大満寺の象徴である「虚空蔵堂」は、万治2年(1659年)の建立で,伊達政宗が仙台城造営のために経ヶ峰の北に移したものを,さらに三代藩主綱宗が二代藩主忠宗の霊廟・感仙殿を経ヶ峯に造営する際に現在地に移して造営したものです。
以来350年以上にわたり仙台の信仰の中心としての役割を果たしてきました。
この虚空蔵堂は、仙台市の有形文化財に指定されており、江戸時代の建築様式を色濃く残す貴重な歴史遺産でもあります。厨子や仏具も同時代のもので、装飾性と信仰性が融合した美しい造りとなっており、仙台の文化と歴史を語る上で欠かせない存在です。
2.境内の建造物について
大満寺の境内は、自然に囲まれた高台に広がり、仙台市内を一望できる絶景スポットでもあります。中心には本堂があり、法要や祈祷が行われる神聖な場所です。

本堂脇には庫裏(寺務所)や会館、写経道場などが配置され、仏教修行の道場としても機能しています。
なかでも注目すべきは、約200段の石段を登った先に鎮座する「虚空蔵堂」です。この朱塗りの堂宇は宝形造、桟瓦葺で、堂々とした風格を湛えています。
屋根の隅には龍と唐獅子の瓦が施され、古建築特有の細部意匠が光ります。内部には本尊・虚空蔵菩薩が安置されており、厨子も含めて仙台市指定文化財となっています。
虚空蔵尊は、諸願成就、無病息災、円満成就の菩薩さまとして知られており、多くの人々が参拝に訪れます。
また、堂内には「仙台」の地名の由来となったとも言われる、千体の木製の仏像、通称千躰仏(せんたいぶつ)が安置されています。
これらの仏像は、厄除けや病気平癒などの祈願の一環として納められたものです。
大満寺では、写経や座禅体験、坐禅会も定期的に実施されており、修行道場としての機能も備えた本格的な寺院です。
3.癌封じ・病気平癒のご利益
大満寺が「がん封じの寺」として広く知られるようになった背景には、現代人が抱える病への苦悩に真摯に向き合う仏教の姿勢と、虚空蔵菩薩の慈悲がありました。がんという病は、肉体のみならず精神も深く蝕む存在であり、その心の救済として大満寺の信仰が深まっていきました。
本堂や虚空蔵堂では、がん封じをはじめとした病気平癒のご祈祷が随時受け付けられています。
特にがん封じ祈願は、参拝者の名前と願意を読み上げ、祈りを仏に届ける厳粛な法要であり、病に立ち向かうための精神的支えとなっています。ご祈祷は事前申込制で、希望者には特別祈願札やお守りが授与されます。
授与所では、「がん封じ御守」「病気平癒御守」のほか、「厄除守」などの護符が用意されており、郵送でも授与を受けることができます。
さらに、「千躰仏奉納」は、願いを込めた小さな仏像を奉納することで、その願意を仏に託す大満寺独自の祈願方式であり、霊験あらたかと評判です。

虚空蔵尊の霊験は、がん封じに限らず、学業成就、家内安全、交通安全、安産祈願など多岐にわたります。また、水子供養や先祖供養にも対応しており、信仰の幅広さも特徴の一つです。心身ともに癒される場として、老若男女問わず多くの参拝者に支持されており、がんと向き合う人々にとっての「祈りの拠点」となっています。
4.所在地・アクセス
○所在地:宮城県仙台市太白区向山4丁目4-1
○アクセス:
・東北自動車道 仙台南I.C から車で20分又は、仙台宮城I.Cから車で15分
・仙台駅西口よりタクシーで約10分
・地下鉄南北線 愛宕橋駅 西出口より徒歩10分
・地下鉄東西線 八木山動物公園 西1出口よりタクシーで約8分
・仙台駅西口よりバスで約15分
○駐車場:あり(約150台分)
○公式サイト:https://www.daimanji.or.jp/